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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2024/08/06 

Vol.307 「災害と向き合う その9」

執筆 足助病院職員

企画室長兼事務管理室長 日比敦郎

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宿泊地に到着し、ロジスティクスの業務として周辺地域の状態確認があります。
インフラ状況のチェックですね。
しかし、今回はそのような必要はなかったです。
宿泊したルートイン輪島は新しく立派な建物であり、何の問題もありませんでしたが、周辺の建物はほぼ全て崩落していました。新しく建てたであろう住宅はダメージがなさそうでしたが、電気はついておらず人っ気は全く感じられませんでした。
ホテルの隣では自衛隊の方が大きなプールのようなものの廻りで業務にあたっていらっしゃいました。お話を伺うことはできませんでしたが、おそらくお風呂の提供をされていたのだと思います。ここでも頭の下がる思いでした。

翌日、いよいよ支援活動です。
まずは情報収集のために行政を訪ねます。私たちのチームは輪島市門前地区での活動がミッションですので、門前総合支所に向かいました。
庁舎内に入ると最初に対応してくださった方は「徳島県」と大きく書かれたビブスを着用されていた方でした。
行政の応援も全国から駆け付けているのです。門前支所の職員も当然被災しているので、窓口案内業務などは応援でカバーし、被災認定などのコア業務に門前支所の職員は集中しているようでした。
医療のみならず、様々な分野で全国から人が駆けつけている現状を目の当たりにし、胸が熱くなる想いでした。
専門資格のない自分でも役に立てるフィールドがあるのかなと思えた瞬間でした。
しばらくして日本医師会ドクターと石川県立看護大学の褥瘡専門認定看護師の方々と合流し、褥瘡回診に向かいました。資器材の管理と情報提供だけはしっかりやろうと心掛けて現場に臨みましたが、私の役割は想像の斜め上をいくものでした。

回診は現場チームのみだけでなく、オンラインで大学医師と看護大学教授とのディスカッションを含めて行われました。オンラインなので患部の状況を撮影して治療方針の指示をもらわなくてはいけません。
私のミッションは大学にいる先生方に鮮明な画像を送り、診断してもらうとともに看護師さんの手を少しでも空けることでした。
とは言え、一人の患者さんに対して7人くらいのスタッフが取り囲む上に、処置を行うので私が最接近するわけにはいきません。しかし、離れすぎてもオンライン診療になりません。
ということで、かなり無茶な姿勢をキープしてタブレットを患部に向けるという荒業を長時間に渡り行うこととなり、日ごろの筋トレがものを言う瞬間でした。
全身の筋肉が攣りそうな状況を何とか乗り越え、無事に回診は終了しました。看護師さんからは丁重にお礼を言われ、逆に恐縮してしまいましたが、得も言われぬ達成感がありました。

午後からは開業医さんの復興支援に入りました。午前中の活躍?で調子に乗った私はここで支援の限界について思い知らされます・・・

続く
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