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足助病院コラム

Asuke Hospital column

2020/06/25 

Vol.116  「空を流れる川  atmospheric river」

執筆 院長 小林真哉

今日のコラムのタイトルを見て、大多数の方は天の川のことかなと考えたと思います。
実は、ちがう川が空には時々出現しています。そして、それは災いをもたらすことがあるのです。
この呼称は1990年代に初めて使われ、欧州やアメリカでは日々の天気予報でも使われるほど浸透しているそうです。
日本付近では、太平洋高気圧の北側で発達した前線に向かって、熱帯の湿った空気が大量に流れ込んで発生するのが特徴です。
この“空を流れる川”は、2019年の台風19号がなぜ記録的な豪雨をもたらしたのかに大きくかかわっているようです。
坪木教授(名古屋大学)の分析では台風が接近・上陸するまでの10月10日から12日にかけて、台風の東側にあたる太平洋の上空に巨大な帯状になった水蒸気の流れ込みがありました。
これが「大気の川」で、11日夜の時点では小笠原諸島の東から関東や伊豆諸島の東の海上にかけて、幅およそ500キロ、南北およそ2000キロにわたってのび、1秒間に50万トンから100万トン(アマゾン川が流す水の量の2倍から3倍に相当する)の水蒸気がながれこんできたというのです。
この水蒸気が台風の風の影響で次々に陸地にもたらされ台風が接近する前から大雨となり、その後に台風本体の雨雲がかかることで東日本や東北で記録的な豪雨になったということです。
坪木教授は「大気の川」が出来た理由は明確にわからないものの、水蒸気は主に海水によってもたらされることから、日本の南で海水温が高くなっていることが影響しているとみています。
そのうえで、今後も地球温暖化が進むと予想されることから「大気の川」が形成されやすくなることで、これまでに経験のないような豪雨災害が繰り返されるおそれがあると警鐘を鳴らしています。

そうなのですねもう風水害は偶然ではなく必然の時代にはいっているのですね。
でも、偶然でないのなら・・・備えられますよね。
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